おはしょり稽古 -5ページ目
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閉塞感は静かに連帯する

reset-N

「Valencia」

作・演出:夏井孝裕

@下北沢ザ・スズナリ


それがいい演技と言うことかは別として、当たり障りの無い演技をするのは結構難しい。所作や声の美しさが求められるし、個人の特色やクセは邪魔だ。
演出担当の友人の発言に驚いたことがある。彼女が「使いたい」と言った役者を上手いと思えなかったからだ。自分の色を消してしまう役者は、演出家としてはとても使い易いらしい。

早稲田の劇評団体PROJECT STARLIGHTでは、reset-Nを物足りなく感じた人間が多かった。

逆に言えば、目の前で芝居をしても

「映画っぽい」

と思わせる力は役者にあったのだ。

どんなに叫んでも唾の飛ばない台詞回しや、足音が気にならない歩き方。変に味があるより難しい。

美容室の昼と夜を舞台に、しかし話は淡々と進む。脚本の狙いは分かる。昼はコミカルなシーンも含んだ美容師と客のやり取り、夜は男性美容師トダと元AV女優のルミを軸に、普通の顔の下で壊れていく人達。笑いの後一気に恐怖、そして物悲しさに・・・いかないんだな、これが。

退廃を抱えている人達に心から笑ったり泣いたりする瞬間は無い。陽気なBGMの流れる夜の美容室で人が殺されても「ふーん」ってなるのは当然なのだ、この芝居の場合。そんな劇的演出を話の中に組んでいる方が問題だ。


構成の割にイメージ先行で台詞が進んでいき、辛うじて「バレンシア」というキーワードを残した感がある。しかし単語が残ってもあまり意味は無い気がする。「一匹の蜜蜂が一生かかって集める蜜の量はスプーン一杯」で、その蜂蜜を「なめながら暮らす」地だからルミはバレンシアに行きたいのだ。

クローズアップされるのはむしろ

「トダ君は一生にどれだけの髪を切るんだろうね?」

という言葉の方じゃないだろうか。そこにこそ倦怠感も退廃もあるし、作品の舞台が美容室である意味もそこから生まれてくると思う。


(PROJECT STARLIGHT「review-lution+!」、劇評サイトWonderland掲載)

夜の砂漠の静けさ

ヒンドゥー五千回

「ハメツノニワ」

作・演出:扇田拓也

@三軒茶屋シアタートラム


中盤、前日の徹夜麻雀が祟って舟を漕いでしまい、二回ほど後ろに首が折れた。後ろの席の人ごめんなさい。
舞台美術が好きだ。暗闇を背景に銀色の梯子が真っ直ぐ砂地に根ざしていて、それを使って役者は入退場する。焦げ茶の椅子が置いてあることもある。
砂地の「庭」で、不思議な話が幾つも並行して語られる。

二冊の同じ本を争うように二人で音読したり、同じ一連のやり取りを調子を変えて何度も繰り返してみたり、言葉を音楽のように使いながら役者達が走り回る様は子供が遊んでいるようだ。

自己の内面に沈み込むような話なのに、観ていたら可笑しくて笑ってしまうことさえあった。創り手が自分の思想に溺れていないせいだろう。神経症的な雰囲気を最後まで残しつつも、物語は解放に向かっていた。
役者では、しなやかに踊る死体が秀逸。踊り疲れてぜーぜー言いながら休んでいるのに、死体に見えるのが不思議だった。不思議の多い作品である。

若き血に燃ゆるもの

「マグロ」

団体名:早稲田大学演劇倶楽部企画・ペナペナジープロデュース

作・演出:尾倉ケント

@早稲田どらま館



完成度は高くないが個人的には好き。

オタクや鬱病気味の登場人物たちを的確に描いていて驚いた。戯画化されがちなオカマも、生身の人間として存在している。


その分、物語の弱さは目立つ。人物は割と並列に描かれているのに、話の筋はヒロインの自害で終わる古典的な悲劇。もっと各々の場面を話の展開に関わらせてほしかった。ホームに飛び込んだ女性を彼女の恋人の乗っていた電車が偶然に轢くという結末も、途中の場面と同じように風景の一つになってしまっていて勿体無い。



駅のホームが舞台では人物相関も作りにくかったろうが、ホームでライブをやる二人組を登場させたのなら「面識は無いが顔は知っている」関係を作ってもよかったかもしれない。家族モノではないし、あまり全員が知り合いというのも不自然な気がする。
劇場全体を電車内に演出する等、細かな工夫が随所に見られた舞台だった。選曲のセンスも◎。尾倉ケントさんの次回作には期待が持てそうだ。


名前も決めずに見切り発車

ということで小劇場演劇レビュ―サイト「おはしょり稽古」本日開設っ。


管理人の―――――です。




・・・えっ?



管理人の――――――――――――――(略

・・・いや、あのね、あ、いけない、あ、あ、あ、(声が嗄れた)ふー。


実は私、

まだHN決めてないんです。



いやぁどうしましょー、いやね、実は本家の楽天日記のHNが


「あめぇば」


だったんですよ。

さすがにブログ名と同じHNはどうかと思うし、かと言って妙案も思いつかなかったので今のところ無名です。名乗れません。

管理画面ではアドレス名をとってoh-hasyorillessonなんですが、これもなんだかなぁ。

だって、

「Oh!はしょりレッスン」

ですよ。

人の名前じゃないだろー。違和感以前に国籍がわからん。

まな内容が内容なので、名乗ることもそれほど無いでしょう。他のブログに掲載してもらうことも多々あるのですが、その際は

『「おはしょり稽古」は』『「おはしょり稽古』さんは」

でお願いします。

さあこれから移転だっ。眠いぞー。


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